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パスポートのいらない世界旅行「トルコ共和国」

Concierge  

法務省の2018年3月の発表によると、“オフィシャル”に日本に在留している外国人は約256万人で、その出身は195の国と地域にもなるそうです。
この小さな島国に、195種類もの文化が共存していると思うと不思議です。
そんな195種類の文化を身近なところで体感すべく、日本にいながらにして「世界旅行」に出かけてみることにしました。

東西文明の十字路、トルコを旅する

初回の旅先は、トルコ共和国(以下、トルコ)です。
まず、トルコの場所を確認しておきましょう。日本からは飛行機で約13時間。三方を黒海、エーゲ海、地中海に囲まれ、アジアとヨーロッパにまたがり、古くから「東西文明の十字路」として栄えてきました。

ですが、今回旅先として選んだトルコの場所は……
渋谷区代々木上原です!

渋谷区代々木上原に、トルコ大使館に所属する日本最大のモスク「東京ジャーミイ」があります。(「ジャーミイ」とは、トルコの言葉で「モスク」を意味するそうです。)

モスクがなぜここに? 

YOUはなぜ日本に?

その理由が、まさかロシア革命にまでさかのぼるとは!
そんな気になる東京ジャーミイの歴史や、イスラム教のこと、モスクのことなどを日本語で解説してくれる無料ツアーが毎週末に開催されていると知り、東京ジャーミイ館内ツアーに参加してみました。

東京ジャーミイ外観

建物に施された美しい装飾

実は入りやすい、東京ジャーミイ

当日は、集合時間よりかなり早く着いてしまったので、外から建物を眺めていたのですが、眺めるほどに美しく、建物自体が芸術作品のようでした。
どこを見ても例外なく細部まで素敵すぎて、しばしそのたたずまいに見とれていると、中から世話役のような方が出ていらして「ドーゾ、入ッテ、中デオ茶ノンデ」と誘ってくださいました。

壁に大きく「見学は自由です」と貼ってあるし、イスラム教って私個人としては閉鎖的なイメージがありましたけど、意外とフレンドリーな対応に拍子抜けしてしまいました。

館内ツアーの開始時間まで時間があったので、トルコの伝統的な民家を再現したという応接室でトルコ紅茶をいただいたり、図書コーナーでアラビア語が読めるふりをして本の背表紙を眺めてみたりして過ごしていると、もうすっかりトルコに来た気分です。

伝統的な民家を再現したという応接室

図書コーナーにはアラビア語の本が並ぶ

館内ツアーで触れる内容の宗教色は薄く、トルコ人が日本に移住するに至った歴史や、東京ジャーミイ建設の経緯などを中心に、丁寧に説明してくださいました。

100年以上の歴史に触れる

東京ジャーミイの歴史はなんと1917年のロシア革命にまでさかのぼります。
ロシア領で暮らしていた一部のトルコ人が、革命を逃れてはるばる日本まで移動します。
その後、トルコへの帰国船が用意されたものの、乗船を拒み日本に定住することを選んだ人たちが、現在の東京トルコ人協会の始まりだそうです。

……深い。

その後建設された、トルコ人学校のモスク部分を独立させ、日本と友好を深めていた東京トルコ人協会が、日本政府、日本企業、トルコ政府の支援を受けて、1938年にモスクが完成。
当時のモスクは老朽化の為に解体されてしまったそうで、現在のモスクは2000年に建て替えられた二代目です。

公式ホームページによると、設計はトルコ人、躯体工事は鹿島建設、水、セメント、鉄筋以外の建築資材は全てトルコより運ばれ、トルコから100人近い建築家や芸術家、職人が来日して完成したそうです。
ロシア革命から今年で101年、現在のモスク内部がこちら!
美しーーーーーーーい!
アラベスク模様がドーム状の天井にびっしり!

美しいドーム状の天井

いたるところに装飾が施されている館内

模様に見えているのもカリグラフィで、全てに意味があるんだとか。

公式パンフレットを撮影

メッカの方向を向いているという祭壇。

女性は中二階のバルコニーに上ることができます。

イスラム教徒の義務とされている、1日5回の礼拝も見学させてもらえましたが、この日は偶然、タンザニア人カップルの結婚式にも同席することができました。

結婚式の様子

色や柄があふれていて、日本の神社仏閣の美意識とは正反対なのに、なぜか日本の神社仏閣で感じるのと同じように、万人を受け入れる包容力が建物自体にあり、ひんやりと清らかな空気が流れていて、いつまでも静かに座っていられる心地よい空間でした。

渋谷で体験するトルコの旅。
毎週末の館内ツアー以外でも、見学はできるそうです。
なかなか忙しくて旅に出られないあなたにお勧め、近場の“トルコ旅行”。ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。

※ 見学の際は、女性は肌の露出が少ない服装と、髪を覆うスカーフ類が必要になりますので、ご注意を。

(該当の記事は2018年12月に執筆したものです)


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